■発足のきっかけ
●2006年3月31日
黒松内岳愛好会と黒松内森林管理署と黒松内町役場による黒松内岳新登山道の可能性を探る調査が行われ、報告会で以下の報告書をブナセンター斎藤が提出。
黒松内岳新登山道の可能性を探る調査報告 2006年3月31日
−ブナ林に関して−
ぶな滝から西北西にのびる沢を約200mほど入った付近から北に向かって登る尾根上に、すばらしいブナ林が広がっていた。登り口までの沢沿いも両岸ブナが生える急斜面であった。雪が解けてみないと沢筋にルートがとれるかどうかはわからないが、ここに新ルートができたら、標高約200mから標高550mの頂上直下の稜線までの標高差350mの間、ずっとブナ林の中を歩けるというすばらしい登山道になると思われる。尾根を登り切ると、ちょうど登山道の4合目付近に達する。尾根上のブナの直径は最大で70センチ前後のものから小径木までさまざまで、更新もうまくいっている自然状態のブナ林である。急斜面で、南斜面であるため、林床には光がよくとどき笹が密生していると考えられる。北限域のブナ林は、ブナと他の樹種(ミズナラ、シナノキなど)が混交する
斜面はかなり急峻であり、ブナ林の原始性を考えると、登山道を取り付けるには、以下の問題点を解決する必要があると考えられる。
○登山道取り付けによる土壌流出に関する検討。急斜面の登山道の土砂流出抑止のための成功事例を探し、黒松内岳に有効かどうかを検討する必要がある。
○土壌が流出することにより、雪の重さにブナの根が耐えられるかの検討。今回もブナが微妙なバランスで雪の重さに耐えていた。ブナがなかったら、雪崩がいつ起きても不思議でないような急斜面。もしブナが雪の重さに耐え切れなければ、ブナもろとも斜面ごとの土砂雪崩、地滑りの災害が考えられる。
○登山道の維持管理費用
提案:黒松内岳活用総合計画のようなものがあると、いいのかもしれない。
いかにすれば黒松内岳が魅力的な山になるか?山の形は、きれいな三角で非常に格好がいい。より魅力的にするには、大きな課題として「登山道」「町からの景観」が挙げられる。
・従来の登山道の入り口付近が滑りやすく針葉樹の植林であることが、登山の魅力を欠く要因として考えられている。一つの対策として、針葉樹の植林の部分を広葉樹(ブナ)に転換するような事業であれば、登山愛好家でも参加協力できる。
・町からの景観(ササが筋状に刈られ、トドマツが植林されている山裾)があまりよくない。これは、ブナの種子の成り年の夏、ササ刈りをするような活動をすることで、自然に実生が発生し、ゆくゆくはブナ林に移行していくのを見守るのが望ましい。
●2006年夏
黒松内岳愛好会のメンバーが黒松内森林管理署に、黒松内岳の登山道の反対斜面にササ原が多いので、ブナ林に再生できないだろうかと提案した。