アヤボラ(フジツガイ科)
Fusitriton oregonensis (Redfield, 1848)
  

△ うすい殻の大きな貝で、どの層もよくふくれています。
△ 縦肋(じゅうろく)螺肋(らろく)はたがいに強くきざまれ、交わった部分が波を打ったようにデコボコで四角い模様ができています。
△ 縦肋体層(たいそう)の下部では見られません。
△ 水管溝(すいかんこう)は長くのびています。
△ 生きている時、殻の表面は茶色い殻皮(かくひ)におおわれていました。

☆ 太平洋側は相模湾、日本海側は山口県以北。北海道~アリューシャン~北アメリカ西海岸に分布。
☆ 北の地方では波打ち際より少し沖に住む。南の地方では水深約300mの細かい砂や泥の底に生息。


カギヨウラクガイ(アクキガイ科)
Pteropurpura lumaria (Yokoyama, 1926)
  

△ カギヨウラクガイは、エゾヨウラクガイ<Ceratostoma inornatus endermonis (Smith, 1875) >の幼貝(ようがい)の別名です。
△ 殻の高さの2/3もある体層(たいそう)には、太い螺肋(らろく)と羽を広げたような強い縦肋(じゅうろく)が交差して、長方形の模様ができています。螺肋にはウロコ状のギザギザ模様が見えます。
△ 水管溝(すいかんこう)(写真の印)はせまく、はしの方ではほとんど管のようになっています。

☆ 東北~北海道に分布。
☆ 波打ち際~水深約20mの岩場に生息。


イセヨウラクガイ(アクキガイ科)
Ocinebrellus falcatus (G.B.Sowerby II, 1834)
  
△ 各層5本の縦肋(じゅうろく)は板のように強く立ち上がり、層の(かた)で波がしらのようにとがっています。この特徴はかなり個体差があります。
△ 螺肋(らろく)は規則的にきざまれています。
△ 殻口(かくこう)は小さい卵形。水管溝(すいかんこう)は閉じて筒状になっています。
△ 黒松内の瀬棚層(せたなそう)からとれた写真のイセヨウラクガイには、図鑑にのっているイセヨウラクガイにあるような特徴的な殻口部分が欠けています。

☆ 九州以北、北海道、サハリンに分布。
☆ 岩場、または砂と石ころの混じった海底に生息。


ツノオリイレガイ(アクキガイ科)
Boreotrophon candelabrum (Reeve, 1847)
  
△ 殻はうすく、横から見ると各層には8~10本前後の縦肋(じゅうろく)(写真の印)が羽根を広げたように強く立ち上がっています。
△ 縦肋縫合(ほうごう)部分では、内側に折り入れられているように見えます。
△ 螺肋(らろく)はほとんど見られません。
△ 水管溝(すいかんこう)は細く長く、殻口(かくこう)のふちは帽子のつばのように広がっています。

☆ 太平洋側は相模湾、日本海側の北部以北~南千島、南サハリンに分布。
☆ 波打ち際~水深約30mの、砂と石ころの混じった海底に生息。


クリイロカミオボラ(エゾバイ科)
Volutopsius simplex (Dall, 1907)
  
△ 殻全体に対して体層(たいそう)の占める割合がとても大きく、よくふくらんでいます。
△ 表面はなだらかですが、まれに(かた)に弱いコブが見られることもあります。

☆ 東北以北、千島、ベーリング海に分布。
☆ 水深約100~150mの砂底に生息。


タマゴバイ(エゾバイ科)
Pseudoliomesus ooides (Middendorff, 1848)
  
△ 殻は厚く、軸唇(じくしん)の短い形。
△ 生きている時は、殻の上に厚い殻皮(かくひ)をかぶっています。化石になり、殻皮がとれると、ひだ状の縦肋(じゅうろく)を見ることができます。
△ 体層(たいそう)は全体の3/4を占める大きさで、各層には低い螺肋(らろく)が見られ、縫合(ほうごう)部分はややくぼんでいます。

☆ 東北、北海道、カラフト、オホーツク~ベーリング海に分布。
☆ 水深約20~400mの、砂や泥の底に生息。


オオエゾシワバイ(エゾバイ科)
Plicifusus scissuratus (Dall, 1918)
  
△ 殻は厚く、殻頂(かくちょう)がとがった細長い形をしています。
△ 各層ごとに、少しふくれて弓型になっている縦肋(じゅうろく)(写真の印)と、縦肋を深く横切る螺溝(らこぅ)が多く見られます。
△ 縫合(ほうごう)部分はややくびれています。

☆ 東北、北海道、千島列島、カラフト~ベーリング海に分布。
☆ 水深約50~400mの、泥の底に生息。
▲ 同じく黒松内の瀬棚層(せたなそう)から産出する巻貝化石に、オオシワエゾバイがあります。名前が似ているので注意しましょう。


エゾボラ(エゾバイ科)
Neptunea polycostata (Scarlato, 1952)
  
△ 殻は大きく厚く、(かた)(写真の印)が角ばった貝。
△ ふくれた体層(たいそう)には、太く低い5~6本の螺肋(らろく)が見られます。
△ 体層上部の縦すじの幅は広く、おり重なるように広がっていて、は特に角ばっています。
△ 軸唇(じくしん)はゆるく曲がっています。

☆ 北海道以北~千島、カラフトに分布。
☆ 水深約50~200mの、岩や石ころの底に生息。


フジイロエゾボラ(エゾバイ科)
Neptunea vinosa (Dall, 1919)
  
△ 殻は厚く、全体に太い螺肋(らろく)が見られ、(かた)の部分(写真の印)は角ばっています。
△ 螺肋縦肋(じゅうろく)に区切られ、“こぶ”のようになる部分もあります。
△ 殻口(かくこう)は大きく、軸は下の部分が少しねじれています。

☆ 東北以北、千島、カラフトに分布。
☆ 水深約20~250mの、砂の底に生息。


ヤセエゾボラ(エゾバイ科)
Pseudoliomesus ooides (Middendorff, 1848)
  
△ 殻はややうすく体層(たいそう)が殻の半分以上をしめていて、殻口(かくこう)は大きく開いています。
△ 各層はふくらんでいて、(かた)はなだらか。表面には浅く細かい放射肋(ほうしゃろく)が見られます。

※ 生息域等は不明。。


ヒメエゾボラ(エゾバイ科)
Neptunea arthritica (Valenciennes, 1858)
  
△ 殻が厚く大きな貝で、幅広い縦肋(じゅうろく)はふくらんでいます。
△ 体層(たいそう)(かた)の部分(写真の印)はコブ状になっていますが、このコブの大きさには個体差があります。
△ 螺肋(らろく)はあまりはっきり見えません。

☆ 茨城~北海道に分布。
☆ 日本海の波打ち際~水深約100mに生息。


ユウビエゾボラ(エゾバイ科)
Neptunea (Golikovia) fukuae (Kira, 1959)
  
△ 細長い殻は固く、ツヤのある肌色をしています。
△ 体層(たいそう)はよくふくれていますが、下方で強くくびれています。
△ 殻口(かくこう)の内側は白く、軸の部分にかけて白くすべすべした部分が見られます。

☆ 土佐湾、東シナ海に分布。
☆ 水深約100~300mに生息。


Neptunea.cf.Sakurai(エゾバイ科)
サクラバイの近似種

  
▲ 絶滅種。
△ 殻は小型で殻口(かくこう)は殻の長さの半分ほどです。
△ 各層の(かた)は角ばり、ふくれた成長肋(せいちょうろく)が見られますが、成長肋成長肋の間はくぼんでいます。
△ 細かな放射肋(ほうしゃろく)が殻全体に見られます。

※ 生息域等は不明。


マユツクリガイ(エゾバイ科)
Siphonalia spadicea (Reev, 1847)
  
△ 各層の縦肋(じゅうろく)はふくらんでこぶ状となり、その上を細くするどい螺肋(らろく)が横切っています。
△ 軸唇(じくしん)は長く、卵形の殻口(かくこう)からのびる水管溝(すいかんこう)は傾き、下の部分はとてもせまくなっています。
△ 生きている時は、うすい殻皮(かくひ)をかぶっていました。

☆ 北海道南部~九州に分布。
☆ 水深約20~250mの、細かい砂や泥の底に生息。


トバイソニナ(エゾバイ科) 別名:エゾイソニナ
Lirabuccinum fuscolabiatum (E.A.Smith, 1875)
  
△ 厚く堅い殻。体層(たいそう)の下部は強くくびれています。
△ 太い縦肋(じゅうろく)は10本内外あり、細い螺肋(らろく)と交わって格子模様となっています。
△ 殻口(かくこう)は卵形で外唇(がいしん)は厚く、殻口の内側にはひだが見られます。

☆ 東北地方~北海道、朝鮮半島に分布。
☆ 波打ち際~水深約5mの、岩場に生息。


カラフトバイ(エゾバイ科)
Buccinum sakhalinense (Dall, 1907)
  
△ 殻は厚く、殻表(かくひょう)には低く細かな螺肋(らろく)とふくれた縦肋(じゅうろく)が見られますが、縦肋体層(たいそう)下部では消えてしまいます。
△ 外唇(がいしん)は厚く、軸唇(じくしん)には弱い1本のひだが見られます。

☆ 北海道、サハリン、千島に分布。


エゾバイ(エゾバイ科)
Buccinum middendorffi (Verkruzen, 1882)
  
△ 殻は厚く各層ともふくらみ、縫合(ほうごう)部分(写真の印)が深くくびれています。
△ 縦肋(じゅうろく)は太くふくらみ、そのため縦肋を横切る螺肋(らろく)は波打っています。
△ 縦肋殻低(かくてい)部分では消えてしまいます。
△ 殻口(かくこう)は広く、外唇(がいしん)は厚く、白くなっています。

☆ 東北地方以北~サハリンに分布。
☆ 波打ち際の岩場に生息。


チシマバイ(エゾバイ科)
Buccinum chishimanum (Pilsbry, 1904)
  
△ 殻は厚く、体層(たいそう)が殻の大部分をしめています。
△ 現生(げんせい)の貝では、殻の表面に不規則な螺脈(らみゃく)が見られますが、写真の化石ではその特徴を確認することができません。
△ 広い殻口(かくこう)の周りは厚みがあります。

☆ 北海道、千島列島に分布。
☆ 波打ち際の奥の岩場に生息。


オオシワエゾバイ(エゾバイ科)
Buccinum oedematum (Dall, 1907)
  
△ 体層(たいそう)は大きくふくらみ、各層には太い縦肋(じゅうろく)と細かな螺肋(らろく)が多数見られます。
△ 殻口(かくこう)の内側のへりから軸唇(じくしん)にかけて、白い滑層(かっそう)が広がっています。
△ 生きている時は、緑色の殻皮(かくひ)をかぶっていました。

☆ 北海道、オホーツク海、ベーリング海に分布。
☆ 水深約200~800mの、泥の底に生息。
★ 同じく黒松内の瀬棚層(せたなそう)から産出する巻貝化石に、オオエゾシワバイがあります。名前が似ているので注意しましょう。


ヒメモスソガイ(エゾバイ科)
Volutharpa ampullacea (Middendorff, 1848)
  
△ 殻はうすく卵形。殻頂(かくちょう)付近の巻が小さいのに比べ、体層(たいそう)(写真の印)は高さも幅もひときわ大きく、殻のほとんどの部分をしめています。
△ 殻口(かくこう)はとても大きく開いています。
△ 軸唇(じくしん)の中央が途中でまがっており、その外側は大きく半月状の滑層(かっそう)におおわれています。
△ 生きている時は、表面にビロードのような皮がついていますが、黒松内の瀬棚層(せたなそう)で見つかる化石の表面には、殻皮がとれて、しま模様の成長脈(せいちょうみゃく)が見えます。

☆ 北海道、千島列島、オホーツク海、ベーリング海に分布。
☆ 水深約50~200mの、砂や泥の底に生息。


ホンヒタチオビガイ(ガクフボラ科)
Fulgoraria megaspira subsp. prevostiana (Crosse, 1878)
  
△ 体層(たいそう)はとても大きく、全体の長さの半分以上をしめていますが、殻がうすいので地層から取り出すときは注意が必要です。
△ 写真の化石は欠けた部分が多くありますが、完全な形ではまっすぐな軸唇(じくしん)が半月状の滑層(かっそう)におおわれています。
△ 黒松内の瀬棚層(せたなそう)からとれたホンヒタチオビガイの表面には、化石にもかかわらず帯のような連続した褐色の折れ線模様が残っていました。

☆ 本州相模湾以北~北海道南部に分布。
☆ 水深約50~450mの、細かい砂や泥の底に生息。


トガリクダマキガイ(クダマキガイ科)
Suavodrillia declivis (Martens, 1888)
  
△ 細長く先のとがった殻。黒松内の瀬棚層(せたなそう)からとれるトガリクダマキガイは、生きていた時のうす茶色が残っています。
△ 各層のほぼ中央部に(かた)があり、螺肋(らろく)(写真の印)はで大きく「逆くの字」に方向が変わります。
△ 殻口(かくこう)は大きくありませんが細長く、水管溝(すいかんこう)も大きく開いています。

☆ 北海道~九州に分布。
☆ 水深約20~200mの、細かい砂の底に生息。


ヒダリマキイグチガイ(クダマキガイ科)
Antiplanes vinosa (Dall, 1874)
  
△ 名前の通り左巻きの貝。殻頂(かくちょう)を上にしたとき、殻口(かくこう)(写真の印)が左側にある貝が左巻きの貝です。多くの巻貝は殻口が右にある右巻きの貝です。
△ どの層もふくらんでいますが、特に体層(たいそう)が大きくふくれています。。
△ 縫合(ほうごう)部分はくびれていて、溝はソフトクリームのように斜めです。
△ 生きている時はオリーブ色の殻皮(かくひ)でおおわれていますが、黒松内の瀬棚層(せたなそう)で見つかる化石の表面に皮はなく、すべすべしています。

☆ 房総半島以北の太平洋岸と日本海に分布。
☆ 水深約50~500mの、細かい砂や泥の底に生息。


オグラクチナワマンジ(クダマキガイ科)
Ophiodermella ogurana (Yokoyama, 1922)

  
▲ 絶滅種。
△ 殻の表面は螺肋(らろく)縦肋(じゅうろく)が交差して布目模様になっています。
△ 各層の中央部が角ばった(かた)となっています。
△ 殻口(かくこう)は細長く、水管溝(すいかんこう)も殻のそこまで大きく開いています。
△ 右側の写真に見られる丸い穴は、肉食の貝に食べられたあとです。

※ 生息域等は不明。


カガマンジ(クダマキガイ科)
Oenopota kagana

  
▲ 絶滅種。
△ 殻は厚く、各層はふくれて大きな体層(たいそう)はゆるくなだらかにすぼんでいます。
△ 殻の表面には強く丸い縦肋(じゅうろく)があり、縦肋縦肋の間に細い成長脈(せいちょうみゃく)がきざまれています。
△ 大きな楕円(だえん)形の殻口(かくこう)のヘリは、外側にめくれたように厚くなっています。

☆ 東北、北海道の太平洋岸に分布。
☆ 波打ち際の、細かい砂や泥の底に生息した。