オーロラニシキガイ(イタヤガイ科)
Chlamys (Chlamys) islandica islandica (Muller, 1776)
  


△ 殻は両方ともややふくらんでいて、表面には太さの不規則な放射肋(ほうしゃろく)が数多く広がっています。
△ 放射肋成長脈(せいちょうみゃく)で区切られ、弱い鱗片状(りんぺんじょう)になる部分も見られます。
△ 生きている貝では、殻の表面に茶色やオレンジ色の輪が見られます。

☆ 北海道以北の太平洋、北大西洋、北極海に広く分布。
☆ 水深約30~100mの、砂や石の混じった底に生息。


カミオニシキガイ(イタヤガイ科)
Chlamys albida (Arnold, 1906)
  
△ 殻はふくらみがあって、オーロラニシキガイより少し縦長です。
△ 殻の表面はやや太い放射肋(ほうしゃろく)とその間に細い放射肋が広がっています。

☆ 北海道以北の北太平洋および日本海に分布。
☆ 水深約50~150mの、砂や泥の底に生息。


トバニシキガイ(イタヤガイ科)
Chlamys(Chlamys)islandica hindsi (Carpenter, 1864)
  
△ 殻頂(かくちょう)から広がる左右の辺は短いのですが、腹縁(ふくえん)は大きくふくらんでいます。
△ 殻表面の放射肋(ほうしゃろく)は太さが不規則ですが、肋の数は70本くらいあります。
△ 写真の個体は不完全なので確認できませんが、本来の耳状突起(みみじょうとっき)は前側が三角形で大きく、後ろ側の耳は小さい形をしています。

☆ 北海道東部以北の北太平洋に分布。
☆ 水深約50~150mの、砂や泥の底に生息。


フトウネニシキガイ(イタヤガイ科)
Chlamys (Chlamys) strategus (Dall, 1898)
  
△ 殻は全体的に丸く、少しふくらんでいます。
△ 表面には7~10本の太くて低い放射肋(ほうしゃろく)が広がり、肋と肋の間にはさらに細い放射脈(ほうしゃみゃく)があります。
△ 放射肋の上には、成長脈(せいちょうみゃく)に区切られた弱い鱗片状突起(りんぺんじょうとっき)ができていることもあります。
△ 生きている時は、成長脈にそって丸く帯状に白色~茶色の色がついていました。

☆ オホーツク海~ベーリング海に分布。
☆ 水深約50~150mまでの、砂や泥の底に生息。


コシバニシキガイ(イタヤガイ科)
Chlamys cosibensis (Yokoyama, 1911)

  
▲ 絶滅種。
△ 殻は少し厚く、右殻より左殻のほうがふくれています。
△ 幼貝(ようがい)の時は、20本前後の同じような太さの放射肋(ほうしゃろく)がみられますが、成貝(せいがい)になると殻の中央部に4本前後の太いふくらみがあらわれます。
△ 特に右殻では、束となった放射肋が強い成長脈(せいちょうみゃく)に区切られて段ができています。その一部はコブ状になっています。
△ 左殻には、放射肋の束が5本前後見られ、成長肋で区切られています。

☆ 韓国済州島からカムチャツカ、アラスカにかけて生息していた。
☆ 黒松内では瀬棚層(せたなそう)の初期に堆積した地層から見つかっている。


アズマニシキガイ(イタヤガイ科)
Chlamys (Azumapecten) farreri nipponensis (Kuroda, 1932)
  
△ ホタテガイなどに比べると縦長のおうぎ形で、右殻が多少ふくらんでいます。
△ 左殻にはやや不規則な間隔で太い放射肋(ほうしゃろく)が発達し、肋と肋の間には放射脈(ほうしゃみゃく)があり、鱗片状突起(りんぺんじょうとっき)が見られます。
△ 北方に住む、特に赤い色のアズマニシキガイを「アカザラ」といいます。

☆ 北海道~九州、朝鮮半島に分布。
☆ 水深約50mより浅い、岩や石ころの底に生息。


ダイシャカニシキガイ(イタヤガイ科)
Chlamys (Leochlamys) tanassevitschi (Khomenko, 1934)

  
▲ 絶滅種。
△ 殻は厚くふくらんでいて、約25本の放射肋(ほうしゃろく)が広がっています。
△ 放射肋には、強い鱗片状突起(りんぺんじょうとっき)が見られます。
△ 前耳(ぜんじ)に比べて後耳(こうじ)(写真の印)は、とても小さい形をしています。

☆ 北海道以北、ベーリング海、北太平洋に生息していた。


エゾキンチャクガイ(イタヤガイ科)
Swiftopecten swiftii (Bernardi, 1858)
  


△ 殻は縦長のおうぎ形。殻の全面に細い放射肋(ほうしゃろく)が広がっています。
△ 三角形で大きく発達している前耳(ぜんじ)に比べて、後耳(こうじ)(写真の印)はとても小さい形をしています。
△ 右殻と左殻では表面の形状がまったくちがいます。
△ 右殻は、殻頂(かくちょう)から広がる幅の広い放射肋が4本あり、殻全体が大きく波打ったように見えます。そして放射肋成長脈(せいちょうみゃく)に強く区切られ、段を作っています。
△ 特徴的なのは左殻で、ふくれあがった5本の放射肋成長脈に強く区切られ、コブのようになっています。
△ 血管が浮き出たような様子と、節くれだった形から、この貝を“ババ(おばあさん)の手”と呼ぶ地方もあります。

☆ 東北、北海道、樺太に分布。太平洋側では福島県、日本海側では福井県が南限となっている。
☆ 波打ち際~水深約20mの、岩や石に足糸(そくし)で付着。


ホタテガイ(イタヤガイ科)
Patinopecten yessoensis (Jay, 1857)
  
△ 殻の形は縁に近く、前後の耳は同じくらいの大きさの三角形。24~26本の放射肋(ほうしゃろく)がのびています。
△ 海底では、ふくらんだ右殻を下にして砂や泥にうまり、殻を安定させています。一方で左殻は平らで、紫や黒、茶色などが混じった色をしており、周りの砂や泥にまぎれて見えにくくなります。このように、敵から身を守る色を「保護色」といいます。
△ 同じホタテガイでも差はありますが、幼貝(ようがい)ほど左殻が濃い色をしています。
△ 内臓のヒモと呼ばれる部分、外套膜(がいとうまく)には、明るさを感じる事のできる小さな黒い眼があります。
△ 黒松内の放射肋(ほうしゃろく)から産出するホタテガイの中には、直径35㎝を越す個体も見つかっています。

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☆ 東北以北~千島列島に分布。
☆ 水深約10~30mの、小石や砂混じりの底に住む。


トウキョウホタテ(イタヤガイ科)
Mizuhopecten tokyoensis (Tokunaga, 1906)

  
▲ 絶滅種。
△ ホタテガイに比べ、放射肋(ほうしゃろく)の数がはるかに少ないのが特徴です。
△ 左殻は平らで、8本の太い放射肋があり、全面に細かな網目状の模様があります。
△ 右殻は少しふくらんでいて、平たい約8本の放射肋があります。

☆ 日本各地の、水深約100~200mの砂や泥の地層から見つかっている。


ヨコヤマホタテガイ(イタヤガイ科)
Mizuhopecten yessoensis yokoyamae (Masuda)

  
▲ 絶滅種。
△ 殻の表面には、断面が箱型の22~30本の放射肋(ほうしゃろく)がのび、肋の太さや肋と肋の間隔がほぼ等しく規則的です。
△ 成長肋(せいちょうろく)も見られ、左殻は平らです。
△ 殻頂(かくちょう)をはさんで、前耳(ぜんじ)後耳(こうじ)はほぼ同じ大きさの三角形。

※ 生息域等は不明。


トクナガホタテ(イタヤガイ科)
Pecten (Yabepecten) tokunagai (Yokoyama, 1911)

  

▲ 絶滅種。
△ 殻は大型、右殻の方がふくらんでいます。
△ 右殻の表面は約20本の低くて平らな放射肋(ほうしゃろく)成長脈(せいちょうみゃく)とが交差して、網目模様になっています。
△ 左殻はほとんど平らか、時にはへこんでいます。上部ではクッキリしている放射肋も、腹縁(ふくえん)近くではほとんど消えてしまいます。

☆ 黒松内では、瀬棚層(せたなそう)の初期に堆積した地層から見つかっている。
☆ 寒流系の貝。