シコロエガイ(シコロエガイ科)
Porterius dalli (Smith, 1885)
△ 殻はうすくて平べったい楕円形。
△ 殻頂は貝の中心より大きく前に寄っていて、内側から見ると歯(写真の★印)が直線状に並んでいます。
△ 表面には細かな放射肋が広がり、成長肋もはっきりと見ることができます。
△ 生きている時は、厚い殻皮をかぶっていました。
☆ 北海道南部~瀬戸内海、朝鮮半島に分布。
☆ 波打ち際の岩や石に足糸で付着。 |
エゾタマキガイ(タマキガイ科)
Glycymeris yessoensis (Sowerby, 1889)
△ 全体が丸く、殻頂がチョコンととがった小さな円形の貝。殻は厚いのですが、あまりふくらんでいません。
△ 生きている時は、毛のような殻皮におおわれていました。
△ 黒松内の瀬棚層から見つかるエゾタマキガイは、殻の表面に白っぽく細い放射肋と成長肋が交差してできる布目模様が見られます。
△ 内側から見ると、殻頂を取り囲むように並んだ歯(写真の★印)が強く刻まれ特徴的です。
△ 腹縁内側にも、刻み模様が見られます。
☆ 太平洋側では房総半島以北、日本海側では丹後半島以北、北海道~千島に分布。
☆ 水深約5~30mの、細かい砂の底に生息。 |
ナミマガシワガイモドキ(ナミマガシワ科)
Monia macroschisma (Deshayes, 1839)
△ ナミマガシワモドキといって、ガイを省略することもあります。
△ 左右の殻とも、あまりふくらんでいません。
△ この貝の特徴は、表面に不規則に広がるシワシワ模様の成長肋です。
△ 内側は白くツヤツヤしていて、右殻の上部には穴があいています。その穴から足糸を出し、近くの石や貝殻に付着したまま成長します。
△ 生きている時は、褐色の殻皮をかぶっていました。
☆ 東北以北~ベーリング海に分布。
☆ 水深約40mまでの石や岩などに足糸で付着。 |
ツキガイモドキ(ツキガイ科)
Lucinoma annulata (Reeve, 1850)
△ 殻は円形で少しふくらみ、殻頂だけが小さくとがっています。
△ 表面は成長肋がせまい間隔でわずかに立ち上がっています。
△ 放射肋はほとんど見えません。
△ 内側の特徴は、後ろの閉殻筋痕が卵形で、前側(写真の★印)が細長いキュウリ形をしていること。そして、へりの白い帯のようなふちどりです。
△ この殻の表面の右側には丸いくぼみがありますが、肉食の貝がツキガイモドキの殻を溶かして中身を食べようとした痕です。貫通していないので、食べるのに失敗したようです。
☆ 東シナ海~南西北海道以北~アラスカ、カリフォルニアに分布。
☆ 水深約25~670mの、砂や泥の底に生息。 |
ヨシダツキガイモドキ(ツキガイ科)
Lucinoma yoshidai (Habe, 1958)
△ 殻は殻頂から大きく広がるふくらみの弱い円形ですが、後背縁がやや直線状になっています。
△ 表面には多数の輪肋が刻まれています。
☆ 紀伊半島以北、日本海に分布。
☆ 水深約100~700mの、砂や泥の底に生息。 |
オオツキガイモドキ(ツキガイ科)
Lucinoma spectabilis (Yokoyama, 1920)
△ 殻はふくらみの弱い大きな円形です。
△ 左の写真で、殻の左右の色が少しちがっています。これは地層にうもれていた部分と、地表に出ていて白くなった部分の差です。
△ 表面には間隔の広い輪肋が刻まれています。
△ この殻にあいている丸い穴は、肉食の貝に食べられた痕です。
☆ 九州~本州、日本海に分布。
☆ 水深約50~100mの、砂や泥の底に生息。 |
オオマルフミガイ(トマヤガイ科)
Cyclocardia crebricostata (Krause, 1885)
△ 殻は厚く、殻頂部分が少しねじれています。
△ 表面には22~25本の低い放射肋と成長脈が刻まれています。
△ 殻の内側の写真からわかるように、腹縁部分には表面の放射肋を反映した模様が、クッキリと刻まれています。
☆ 北海道~ベーリング海に分布。
☆ 水深約10~100mの、砂や泥の底に生息。 |
クロマルフミガイ(トマヤガイ科)
Cyclocardia ferruginea (Clessin, 1888)
△ 殻頂部分は少しとがって厚みがあり、殻はややふくらんでいます。
△ 低くて丸い放射肋は20本前後、肋と肋の間はせばまっています。
△ 細かな成長脈も見られ、表面は畳の目のようになっています。
△ この殻にあいている丸い穴は、肉食の貝に食べられた痕です。
☆ 千島列島南部~九州、朝鮮半島に分布。
☆ 水深約50~400mの、砂底に生息。 |
エゾイシカゲガイ(ザルガイ科)
Keenocardium californiense (Deshayes, 1839)
△ 殻はやや厚くよくふくらみ、丸みのある45本前後の放射肋は、途中で成長脈に強く区切られ、段になっています。
△ 殻の内側には、表面の放射肋を反映した模様がくっきりと刻まれています。
△ この貝に似たコケライシカゲガイは、放射肋が35~40本なので、肋の数が判別の手がかりとなります。
☆ 茨城県鹿島灘~オホーツク海に分布。
☆ 水深約10~100mの、砂や泥の底に生息。 |
コケライシカゲガイ(ザルガイ科)
Ciliatocardium ciliatum (Fabricius, 1780)
△ 殻はあまり厚くありませんが、殻頂はふくらんで前に傾いています。
△ 放射肋の断面はもともとΛ形なのですが、黒松内の瀬棚層から見つかる化石の多くは角が丸まってしまっています。
△ 殻の内側には、表面にある放射肋の凸凹を反映した模様が刻まれています。
△ 35~40本ある放射肋は、途中で成長脈に区切られ、段になっています。
△ この貝に似たエゾイシカゲガイは、放射肋が43~50本なので、肋の数が判別の手がかりとなります。
☆ 日本海側は兵庫県、太平洋側は岩手県~北海道~北極海に分布。
☆ 水深約10~200mの、泥底に生息。 |
ウバトリガイ(ザルガイ科)
Serripes groenlandicus (Mohr, 1786)
△ アリソトリガイともいいます。
△ 形は大きく、よくふくらんだ長い卵形で、表面は平らです。
△ 殻はうすくもろいので、黒松内の瀬棚層では完全な形でとりだすのはむずかしい化石です。
△ この化石では大きく区切られた成長脈が見られますが、生きている時は表面が殻皮でおおわれており、成長脈は見られません。
☆ 日本海(福井)から北海道、北太平洋、北大西洋に分布。
☆ 水深約10~15mの、泥底に生息。 |
ナガウバトリガイ(ザルガイ科)
Serripus laperousii (Deshayes, 1839)
△ 殻はよくふくらんだ楕円形で、厚みはあまりありません。
△ 殻頂はやや前方に寄っています。
△ この化石では大きく区切られた成長脈が見られますが、生きている時は表面が殻皮でおおわれており、成長脈は見られません。
☆ 男鹿半島以北~北海道、北太平洋に分布。
☆ 水深約14~200mの、砂混じりの泥底に生息。 |
ムカシオナガトリガイ(ザルガイ科)
Papyridea kurodai (Hatai & Nisiyama)
▲ 絶滅種。クロダトリガイともいう。
△ 前に寄った殻頂から50~55本内外の放射肋が、なびくようにのびています。
△ 放射肋の断面は、殻頂近くでは丸いのですが、はしに行くにしたがって三角や四角になっていきます。
△ 殻の内側からでも、放射肋の凸凹がはっきりとわかります。
△ 外套線湾入は見られません。
※ 生息域等は不明。 |
ナガウバガイ(バカガイ科)
Mactromeris polynyma (Stimpson, 1860)
△ 殻はあまりふくらんでいません。殻頂は少し後ろに寄っているため、前背縁が長くゆるやかな三角形で、後背縁は短く丸まっています。
△ 殻頂の下には大きな靭帯受けがあります。
△ 表面には細かな放射肋が広がり、成長肋もはっきりと見ることができます。
△ この化石では成長脈が見られますが、生きている時は表面を殻皮でおおわれており、成長脈は見られません。
☆ 茨城県銚子以北~ベーリング海に分布。
☆ 波打ち際~水深約30mまでの、砂底に生息。 |
ナガイソシジミ(シオサザナミガイ科)
Nuttallia petri (Bartsch, 1929)
△ 殻の前側は丸く大きく、それに比べて後ろ側はせばまっていて、あまりふくらんでいません。
△ ナガイソシジミをはじめとするシオサザナミガイ科の貝の特徴は、殻頂の横に貝殻の一部が飛び出ている(写真の★印)ことです。この部分は歯丘といい、外側から貝殻を開く役目をする外靭帯が付着していました。
△ 表面には細かな放射肋が広がり、成長肋もはっきりと見ることができます。
△ 写真の殻の内側には、上部の左右に大きな閉殻筋痕が見えます。
☆ 北海道~オホーツク海に分布。
☆ 波打ち際~水深約60mの、砂や泥の底に生息。 |
ハムロイソシジミ(シオサザナミガイ科)
Nuttallia commoda (yokoyama, 1925)
▲ 絶滅種。
△ 殻は楕円形で、あまりふくらんでいません。
△ 歯はとても小さく、表面はなめらかです。黒松内の瀬棚層から見つかるハムロイソシジミは、生きていた時の色がよく残っています。
※ 生息域等は不明。 |
オオミゾガイ(ユキノアシタ科)
Siliqua alta (Broderip & Sowerby, 1829)
△ 殻は楕円形で、殻頂は中央よりやや前に寄っています。
△ この貝の特徴は、内側の閉殻筋痕のすぐ後ろ(写真の★印)に、腹縁に向かう縦の太い筋があることです。
☆ 東北地方以北~サハリンに分布。
☆ 波打ち際~水深約20mの、砂底に生息。 |
エゾヌノメアサリ(マルスダレガイ科)
Callithaca adamsi (Reeve, 1863)
△ 殻は大きく厚く、卵形でよくふくれています。
△ 殻の表面は、細く立ち上がって板のようになった輪肋と、数多くの放射脈が交差して、とても細かな布目模様になっています
△ 殻の内側に見られる外套線湾入(写真の★印)が深く、殻の中央付近まで達します。ここには太い水管の根元がついていました。
☆ 本州北部~北海道、サハリン、千島に分布。
☆ 波打ち際~水深約20mの、砂底に生息。 |
エゾワスレガイ(マルスダレガイ科)
Callista brevisiphonata (Carpenter, 1864)
△ 殻は厚く丈夫なので化石として残りやすく、黒松内の瀬棚層からとても多く見つかる貝です。
△ 殻頂は前に寄り、放射肋はほとんど見られませんが、成長脈は強く、ときには立ち上がるほどはっきりしています。
△ 写真の貝は白と茶色の2色にわかれています。白い部分は地層から顔を出していたため、日光に当たって白くなった部分。茶色い部分はうもれていたため、生きていた時の色が残っている部分です。
☆ 東北地方以北~オホーツク海に分布。
☆ 水深約2~30mの、砂底に生息。 |
ウチムラサキガイ(マルスダレガイ科)
Saxidomus purpuratus (Sowerby, 1852)
△ 殻は厚く前縁は丸みがあり、後背縁の一部(写真の★印)は斜め直線状になっています。輪肋は立ち上がるように強く刻まれています。
△ 生きている時、この貝の殻の内側は濃い紫色をしていることからウチムラサキガイと言われています。黒松内の瀬棚層では、この色がうっすら残っている化石も見られます。
△ 写真の貝は白と茶色の2色にわかれています。白い部分は地層から顔を出していたため、日光に当たって白くなった部分。茶色い部分はうもれていたため、生きていた時の色が残っている部分です。
☆ 北海道南西部~九州~朝鮮半島、中国大陸南岸に分布。
☆ 波打ち際~水深約20mの、石ころ混じりの砂や泥の底に生息。 |
スエモノガイ(スエモノガイ科)
Mactromeris polynyma (Stimpson, 1860)
△ 殻がとてもうすく、ふくらみも弱いので、地層から取り出すときに壊れやすい貝です。
△ 右殻は平らな左殻を包むような形をしていて、殻頂から後ろのへりにかけて稜(山型にふくらんだ筋)が走っています。
△ 左右の殻を合わせると後ろ側にすき間ができます。ここからは水管が出ていました。
△ 内側には、前側に細長い閉殻筋痕が見られます。
☆ 東北、北海道~オホーツク海に分布。
☆ 水深約20~100mの、細かい砂や泥の底に生息。 |
フクレスエモノガイ(スエモノガイ科)
Thracia itoi (Habe, 1961)
△ 殻がとてもうすいので、地層から取り出すときに壊れやすい貝です。
△ 横長のスエモノガイに比べて、横幅はせまくなっています。
△ 左右の殻はよくふくれていて、合わせると後ろ側にすき間ができます。ここからは水管が出ていました。
△ 殻頂から後ろに向かって稜(山型にふくらんだ筋)が走っています。
△ 外套線湾入は深く食い込んでいます。
☆ 東北~北海道に分布。
☆ 水深約10~50mの、砂や泥の底に生息。 |