キララガイ(クルミガイ科)
Acila (truncacila) insignis (Gould, 1861)
  
△ 殻頂(かくちょう)は貝の中心より前に寄っています。
△ 表面に見える放射肋(ほうしゃろく)(写真の印)は、途中から「人」の字を重ねたように枝分かれしています。
△ 殻の内側はキラキラ光り、蝶番(ちょうつがい)部分には()がずらりと並んでいます。
△ 写真に写っている大きな丸い穴は、肉食の貝に食べられた跡です。

☆ 太平洋側は銚子以北、日本海側では五島列島以北に分布。
☆ 水深約5~200mの、細かい砂や泥の底に生息。


スモモソデガイ(ロウバイガイ科)
Yoldia amygdalea(Valenciennes, 1846)
  
△ 前部はやや丸く、後部はせばまっています。
△ 殻は平らであまりふくらんでいません。
△ 生きている時は殻皮(かくひ)をかぶっていました。

☆ 北海道以北~ベーリング海~北米西海岸、北大西洋に分布。
☆ 水深約20~200mの、砂や泥の底に生息。


トウカイシラスナガイ(シラスナガイ科)
Limopsis tokaiensis (Yokoyama, 1910)

  
▲ 絶滅種。
△ 殻頂(かくちょう)部分が小さくとがっていて、殻が少し厚い、やや楕円(だえん)形の貝。ふくらみはあまりありません。
△ 殻の表面は、放射脈(ほうしゃみゃく)成長脈(せいちょうみゃく)が交差して、布目状になっています。
△ 内側殻頂部分(写真の印)には、歯が強くきざまれています。

☆ 関東や、北陸~北海道にかけての、日本海沿岸から見つかっている。


シラスナガイ(シラスナガイ科)
Oblimopa multistriata (Forskaal, 1775)
  
△ 殻はふくらみの弱い丸型です。
△ 写真の化石でははっきり確認できませんが、表面はやや太い放射肋(ほうしゃろく)成長脈(せいちょうみゃく)が交差し、細かな布目状になっています。
△ 生きている時は、暗いだいだい色の殻皮(かくひ)におおわれていました。
△ 貝の内側のへりは平らになっていて、殻の周りをとりかこんでいます。

☆ 房総半島~台湾、フィリピンに分布。
☆ 水深約10~400mの、砂や泥の底に生息。


オリイレシラスナガイ(シラスナガイ科)
Empleconia cumingii (A.Adams, 1863)
  
△ 殻を内側から見ると、殻頂(かくちょう)の後部が内側にカーブしていて、蝶番(ちょうつがい)部分がするどい三角形となり、その内側にある(写真の印)は強くきざまれています。
△ 表面には多数の成長脈(せいちょうみゃく)が見られます。
△ 二つある閉殻筋痕(へいかくきんこん)は、殻の前側が上に、後側が下にあります。

☆ 房総半島~九州、日本海南部に分布。
☆ 水深約30~300mの、砂の底に生息。


ヤマトタマキガイ(タマキガイ科)
Glycymeris(G) nipponica (Yokoyama, 1920)

  
▲ 絶滅種。
△ 殻は小型で殻頂(かくちょう)がとがった、わずかに縦に長い円形をしています。
△ エゾタマキガイに似ていますが、殻頂の角度はエゾタマキガイの方が広がっています。
△ ややふくらんでいて、よく見ると殻の表面は多数の細い放射肋(ほうしゃろく)と細い成長肋(せいちょうろく)が刻まれています。
△ 内腹縁(ないふくえん)には、細かい刻みが見られます。

※ 生息域等は不明。


ロウイロミノガイ(ミノガイ科)
Lima fujitai (Oyama, 1943)
  
△ 殻頂(かくちょう)から前にのびる辺は短く、後ろにのびる辺が長い変形おうぎ形。裏側から見ると、殻頂近くのくぼみも確認できます。
△ 殻はうすく、ややふくらんでいて、35本前後の放射肋(ほうしゃろく)があります。
△ 現生(げんせい)の貝では、放射肋に細かな鱗片状突起(りんぺんじょうとっき)があるのですが、黒松内の瀬棚層(せたなそう)から採れる化石ではほとんどわかりません。

☆ 太平洋側は房総半島以南、日本海側では能登半島以南に分布。
☆ 水深約50~300mの、石ころに足糸(そくし)で付着。


ウメノハナガイ(ツキガイ科)
Pillucina pisidium (Dunker, 1860)
  
△ 殻はうすく、殻頂(かくちょう)付近がよじれたように傾いています。
△ 表面の放射肋(ほうしゃろく)が、殻の両わきで枝分かれしているのが特徴です。殻を内側から見ると、ふちには細かな刻み模様が見られます。

☆ 北海道南西部以南~沖縄、台湾に分布。
☆ 波打ち際~水深約30mの、砂や泥の底に生息。


ハナシガイ(ハナシガイ科)
Thyasira tokunagai (Kuroda & Habe in habe, 1961)
  
△ 殻はとても小さくうすく、ツルツルしていてややふくらんでいます。
△ 後背縁(こうはいえん)(写真の印)に、2本のひだが走っているのが特徴です。

☆ 九州~北海道に分布。
☆ 水深約5~50mの、泥の底に生息。


ユキヤナギガイ(ハナシガイ科)
Adontorhina subquadrata (A.Adams, 1862)
  
△ 殻は小さくうすく、殻頂(かくちょう)がツンととがって傾いていますが、全体的には丸に近い形をしています。
△ 表面がツルツルしてややふくらんでいるのはハナシガイに似ていますが、ユキヤナギガイにひだはありません。

☆ 銚子以北、オホーツク海に分布。
☆ 水深約5~50mの、砂や泥の底に生息。


ヒラシオガマガイ(フタバシラガイ科)
Diplodonta asperoides (Nomura, 1932)
  
△ 殻は小さくうすいけれど、よくふくらんでいます。
△ 前縁(ぜんえん)(写真の印)はゆったりとした「く」の字形、後ろはわずかに直線状です。
△ 殻の表面には成長線(せいちょうせん)が見えますが、ほとんど平らです。

☆ 東北~北海道に分布。
☆ 水深約10~30mの、砂底に生息。


イサオマルフミガイ(トマヤガイ科)
Cyclocardia isaotakii (Tiba, 1972)
  
△ 全体の形は丸く、殻が厚くふくらみの強い貝。放射肋(ほうしゃろく)は20本前後で、細かな成長脈(せいちょうみゃく)が刻まれています。
△ 殻の内側から見る腹縁(ふくえん)には、はっきりと刻み模様が見えます。
△ 黒松内の瀬棚層(せたなそう)からたくさん採れる貝ですが、一般の図鑑にはほとんどのっていません。

★ 千葉蘭児(ちばらんじ)さんという研究者が、1972年に新種として学会に発表しましたが、教えを受けお世話になった滝庸(たきいさお)博士に敬意を表し、この貝にイサオマルフミガイと命名しました。こうした名前の付け方を献名(けんめい)と言います。
☆ 東北、北海道~ベーリング海に分布。
☆ 水深約10~100mの、砂や泥の底に生息。


マメフミガイ(トマヤガイ科)
Miodontiscus prolongatus nakamurai (Yokoyama, 1923)
  
△ 名前の通り、マメのようにとても小さな貝です。
△ 殻はかたく、キャップ状の強いふくらみが見られ、殻頂(かくちょう)は大きくねじれています。
△ 殻の表面は10本前後の強い放射肋(ほうしゃろく)と、ふくらんだ成長脈(せいちょうみゃく)に区切られ、四角い模様になっています。

☆ 生息地等は不明。


ハコダテシラオガイ(エゾシラオガイ科)
Astarte hakodatensis (Yokoyama, 1920)
  
△ 小型で三角形に近い形。殻頂(かくちょう)は首をひねったように曲がり、蝶番(ちょうつがい)付近の内側はわずかにくぼんでいます。
△ 表面には少し立ち上がった成長肋(せいちょうろく)が細かく刻まれています。

☆ 五島列島、日本海、太平洋側は相模湾以北、北海道に分布。
☆ 水深約50~150mの、砂や泥の底に生息。


アラスカシラオガイ(エゾシラオガイ科)
Tridonta alaskensis (Dall, 1903)
  
△ 殻は厚く、少々横に長い三角形。殻頂(かくちょう)はとがり前方へ傾いています。
△ 一番の特徴は、表面の中央部に見られるクッキリとふくれあがった成長肋(せいちょうろく)です。

☆ 日本海~ベーリング海、アラスカにかけて分布。
☆ 水深約50~200mの、砂や泥の底に生息。


ベニサラガイ(ニッコウガイ科)
Megangulus luteus
  
△ 成貝(せいがい)になると大きさ10㎝を超える貝。写真の殻は幼貝のようです。
△ 殻はうすく、ふくらみは弱く、表面はほぼ平らになっています。
△ 殻頂(かくちょう)から(りょう)(山形にふくらんだ筋)が貝の後方にのびています。
△ この貝は内側がピンク色(ベニ色)なのでこの名前がついたようですが、ブナセンターでは色の残っている殻を所蔵していません。

☆ 北海道~朝鮮半島東側~北千島、アラスカ西部に分布。
☆ 水深約15~50mの、細かい砂の底に生息。


ニホンシラトリガイ(ニッコウガイ科)
Macoma (Macoma) nipponica (Tokunaga, 1906)
  
△ 殻は卵形でうすく、あまりふくらみはありません。
△ 殻頂(かくちょう)から後ろのふちに向かって(りょう)(山形にふくらんだ筋)が走っています。

☆ 北海道南部から九州に分布。
☆ 水深約100~200mの、細かい砂や泥の混じった底に生息。


ウネナシトマヤガイ(フナガタガイ科)
Trapezium liratum (Reever, 1843)
  
△ 殻は小さく、長い楕円(だえん)形であまりふくらんでいません。
△ 成長脈(せいちょうみゃく)は不規則な間隔で広がっています。
△ この貝の大きな特徴は、殻の中央部あたり(写真の印)にくぼみが見られること。この部分を内側から見ると、盛り上がった筋となって見えます。

☆ 津軽半島以南や、台湾~中国大陸南岸に分布。
☆ 波打ち際や汽水域(きすいいき)の石ころなどに足糸(そくし)で付着。


クチベニデガイ(クチベニデガイ科)
Corbula venusta (Gould, 1861)
  
△ 図鑑などではクチベニデと書かれていることもあります。
△ 殻は小さく、あまりふくらんでいません。
△ 殻の表面には不規則な成長肋(せいちょうろく)があり、殻頂(かくちょう)から後ろのへりにかけて(りょう)(山形にふくらんだ筋)がのびています。

☆ 北海道南部~九州、朝鮮半島に分布。
☆ 波打ち際~水深約200mの、細かい砂底に生息。


ミツカドカタビラガイ(ミツカドカタビラガイ科)
Nyadora fluctuosa (Gould, 1869)
  
△ 殻は小さくうすい三角形。殻頂(かくちょう)は後ろに傾き、その殻頂から後ろのへりに向かって(りょう)(山形にふくらんだ筋)がのびています。
△ 表面には低い成長肋(せいちょうろく)が、間隔をあけて太く刻まれています。
△ 右殻は少しふくらんでいますが、左殻はほとんど平らです。

☆ 北海道南部~四国、九州、東シナ海に分布。
☆ 水深約10~750mの、砂底に生息。


ソトオリガイ(オキナガイ科)
Laternula(Exolatarnula)marilina (Reeve, 1863)
  
△ 殻はうすくて横長で、表面には間隔が不規則な成長肋(せいちょうろく)が見られます。
△ 左殻が少し大きく、左右の殻ともふくらみが強いので、二枚合わせると後ろ側に大きなすき間ができます。
△ 生きている時は、褐色(かっしょく)殻皮(かくひ)をかぶっていました。
△ 現生のソトオリガイの特徴には、表面の細かな顆粒(かりゅう)(ツブツブ)や内面の真珠光沢(しんじゅこうたく)があります。

☆ 東南アジア~オホーツク海に分布。
☆ 波打ち際~水深約20mの、砂や泥の底に生息。


ビワノタネガイ(スナメガイ科)
Dermatomya tenuiconcha (Dall, 1913)
  
△ 殻は丸くうすいのですが、とてもふくれています。
△ 殻の内側には弱い真珠光沢(しんじゅこうたく)があり、ごく浅い外套線湾入(がいとうせんわんにゅう)が見られます。
△ 生きている時は、オリーブ色の殻皮(かくひ)におおわれています。

☆ 相模湾以北、北海道~アラスカ~カリフォルニアに分布。
☆ 水深約300~1,000mの、砂や泥の底に生息。