■概況

黒松内岳の位置(グーグルマップ)

 

黒松内岳の登山道(黒松内町役場のHP)

 

 

●黒松内岳の地況

 黒松内岳は黒松内町の南西部に位置し、標高739.8mの山である。山頂付近は急な崩壊斜面になっており、その山容は東側から見るときれいな三角形、南北から見ると台形に見え、どの方角から見ても存在感のある山である。また、朱太川の支流である黒松内川や賀老川(黒松内町の水源の川)、島牧村の折川や大平川の源流にあたる。

黒松内岳のブナ林は、登山口がある標高約200m付近から標高約600mの稜線部まで見られる。高標高ほど風による矮生低木化が進み、最も風当たりの強い稜線部ではブナの樹高は4m程度になる。2006330日に後志森林管理署黒松内森林事務所が中心となって行われた黒松内岳のブナ林の踏査の結果、北限域では希なブナのほぼ純林状態のブナ林が山腹に広がっていることが見いだされた。これは、地形が急峻なことと多雪である事が要因として考えられる。今回の踏査はほんの一部にすぎないが、航空写真などから判別すると、このようなブナ林がかなり広範囲に広がっていると考えられる。

ブナ北限のラインである黒松内低地帯以北のブナ林は、伐採の影響か、はたまた自然状態なのかは定かではないが、隔離分布している。一方、北限のラインより南側はある程度ブナ林が連続して分布している。黒松内岳のブナ林は、カニカン岳、長万部岳、大平山などからのブナ林の連続分布の東限に位置する。

 

●活用状況

 黒松内岳は、その山容の格好の良さと、登山道沿いにブナ林が広がっていること、さらに天気に恵まれれば山頂から日本海と太平洋の両方の海が見られるという魅力があり、手軽に登れる山として、登山客に人気のある山である。登山中、ヒグマに遭遇する可能性があり、北海道の原生自然を体験出来る山である。歩行には、登山道の登り始めのトドマツの植林の急坂と、頂上直下のガレ場の急坂で注意が必要であった。しかし最近、町内の黒松内岳愛好会の呼びかけで、ほとんど使われていなかった迂回路の整備が行われた結果、迂回路周辺にブナ林が広がっており、こちらを歩くことで斜面の傾斜は緩やかになり、さらに、登山口から標高600m付近の稜線までブナ林の中を歩けるようになった。これを機に「黒松内岳はブナ林の中を歩いて登る山」という評判が広がることが期待される。

 黒松内町民との関わりは、毎年、夏の始めに山開きの日を設定し登山の会が開かれている。また、冬は十数年前までは町民有志により、町内から約6時間かけてスキーで登頂し、ジンギスカンを食べ、滑り降りるという企画があった。

 さらに、黒松内岳は「朝、黒松内岳が見えていれば、天気は良くなる」という観天望気に用いられ、多くの町民が眺める山になっている。

 

 

ホームページにもどる